第42回中央最低賃金審議会において、平成26年度の地域別最低賃金額改定の目安についての答申が取りまとめられ、公表されました。
中央最低賃金審議会は、地域別最低賃金の全国的整合性を図るため、毎年、地域別最低賃金額改定の「目安」を作成し、地方最低賃金審議会へ提示しています。この目安は、地方最低賃金審議会の審議の参考として示すものであって、これを拘束するものでないこととされています。
なお、地域別最低賃金額の表示については、平成14年度以降時間額のみで示すこととなっています。
■平成26年度の地域別最低賃金額改定の目安 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をA~Dの4ランクに分けて、引上げ額の目安が提示されました。
ランクごとの引上げ額は、Aランク19円、Bランク15円、Cランク14円、Dランク13円となっています(昨年はAランク19円、Bランク12円、C・Dランク10円)。
ランク 都道府県 A 千葉、東京、神奈川、愛知、大阪 B 茨城、栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島 C 北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、 山口、香川、福岡 D 青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、 熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄
注.最低賃金が生活保護水準を下回る逆転現象の状況
現在、5都道府県(北海道、宮城県、東京都、兵庫県、広島県)で、最低賃金が生活保護水準を下回っていますが、今回の目安どおりに引き上げが実施されると、全都道府県において、最低賃金が生活保護水準を上回ることになります。
本年度の目安が示した引上げ額の全国加重平均は16円です(目安段階でみると、時給で表示されるようになった平成14年度以降で最大の増加幅)。この引き上げが実現すると、最低賃金が生活保護水準を下回る逆転現象もすべての都道府県で解消されることになります。
景気回復による雇用情勢の改善が、引き上げを後押しする形になっていますが、消費税増税などで物価が上昇しており、“低所得者の暮らしがどの程度改善するのかは不透明”との懸念もあります。
今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上答申を行い、各都道府県労働局長によって地域別最低賃金額が決定されることになります。