令和5年11月2日の臨時閣議で、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」が決定されました。
同日、岸田総理は記者会見を開き、その考え方などについて、次のようにコメントしました。
●経済の好循環を生むための鍵を握るのは、賃上げと投資であるが、足元における最大の課題は、賃上げが物価上昇に追いついていないということ。
そこで、今回の経済対策では、2段階の施策を用意した。
・第1段階の施策は、年内から年明けに直ちに取り組む、緊急的な生活支援対策。
具体的には、生活に苦しんでいる世帯に対し、既に取り組んでいる1世帯3万円に加え、1世帯7万円をできる限り迅速に追加支給することで、1世帯当たり10万円の給付を行う。
・第2段階の施策は、来春から来夏にかけて取り組む、本格的な所得向上対策。
まず、来年の春闘に向けて、経済界に対して、今年を上回る水準の賃上げを働きかける。
同時に、年末の税制改正で、赤字法人が多い中小企業や医療法人なども活用できるよう、賃上げ税制を拡充するとともに、価格転嫁対策の強化など取引適正化をより一層進めるなどにより、中小企業の賃上げを全力で応援する。
●政府として全力で賃上げを進める環境を整備する予定であるが、それでもなお、来年に国民の賃金が物価を超えて伸びていく状況となるのは確実ではない。
そのため、来年の6月のボーナスのタイミングで、本人・扶養家族を問わず、1人当たり計4万円、約9,000万人を対象に、総計3兆円半ばの規模で所得税・住民税の定額減税を行いたいと考えている。
●また、国民の可処分所得を後押ししながら、我が国の「稼ぐ力」を強くしていくために全力を挙げる。
具体的には、次のような取り組みを進める。
・賃上げ促進税制。最も重要な「人への投資」の拡大を図る。
・投資減税と戦略投資支援。半導体、蓄電池、電気自動車などの戦略分野で過去に例のない税制や補助制度を講じ、全国で次々と大型投資を呼び込んでいく。
・中小企業の省エネ・省力化投資。小売、飲食、宿泊業からものづくりまで、人手不足に対応するメニューをカタログから選択し、現場の企業に使いやすい形で支援する。
・物流・交通のデジタル化。デジタル情報配信道等を整備し、自動運転トラックを活用した物流の実証を行う。2024年問題に直面する物流投資も後押ししていく。
・暮らしのGX。ヒートポンプ設置、断熱窓への改築、電気自動車の購入補助など、光熱費を削減し、快適な暮らしを応援する。
・「年収の壁」への対策。壁を実質的に無くしていくよう、具体的な支援を用意し、既に実行している。
●今回の経済対策の規模は全体で17兆円前半程度を見込んでいる。
その一方で、大規模な補正予算を講じてきたコロナ禍への対応が一段落した以上、今回の経済対策策定に当たっても、合わせて5兆円となる予備費を半減し、財源として活用する。
この経済対策については、その裏付けとなる補正予算を編成し、臨時国会に提出して、早期に成立させていくこととしています。
具体的にどのような施策が講じられることになるのか、今後の動向に注目です。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<デフレ完全脱却のための総合経済対策 本文>
https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2023/20231102_taisaku.pdf
<令和5年11月2日 岸田内閣総理大臣記者会見>
会見内容:https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2023/1102kaiken.html
会見資料::https://www.kantei.go.jp/jp/content/000138090.pdf