【専門家の知恵】意外と知られていない賃金の話

公開日:2022年4月5日

本稿では、意外と知られていない賃金に関すること、を説明していきます。

 

1.様々な賃金の形態

(1)定額制
賃金の定額制とは、文字通り一カ月単位など一定期間の賃金を定額とすることです。
定額制では、「定額賃金には〇〇時間分の残業代を含む」と規程している会社が多いのですが、それでも割増賃金の扱いを巡り労使間でトラブルとなりやすい制度です。

(2)歩合制
仕事の成果や業績によって、給与が変動するタイプの給与形態をいいます。
「歩合制」は、大きく「完全歩合制」と「固定給+歩合制」に分かれます。
会社は、従業員に対して最低賃金以上を支払う必要があるため、現実に会社が採れる歩合給制は、「固定給(最低賃金額以上)+歩合制」となります。

(3)年俸制
年俸制は、給与の金額を1年単位で決定する給与形態をいいます。給与の支払い時期は、労働基準法で[毎月1回以上の支払いの原則」が定められているため「月払い」となります。年俸制も「年俸額には〇〇時間の残業代を含む」と規程するケースが多く、定額制同様のトラブルが見られます。

 

2.最低賃金とは

最低賃金法に基づき国が決めた賃金の最低限度額です。会社(使用者)は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。最低賃金には、地域別に決められた最低賃金額と産業別に決められた特定(産業別)最低賃金額があります。

 

3.賞与の種類

(1)通常の賞与
日本企業の多くは、夏・冬の年2回支給することが多く、支給額は「基本給の〇ヶ月分」や「能力に応じて支給」とされるのが一般的です。

(2)決算賞与
会社の業績がよければ支給されることのある賞与です。支給時期は決算後が基本で、支給額は業績次第となります。

(3)業績連動型賞与
「通常の賞与」と異なり、基本給ではなく会社の業績や個人に対する評価などが基準となり支給額の決まる賞与です。従業員には支給額の予測をし辛いのが難点です。

 

4.賃金に当てはまらないもの(賃金とされないもの)

労働基準法上、退職金、結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金等の恩恵的給付は原則として賃金とみなされません。但し、労働協約、就業規則、労働契約等によつて予め支給条件の明確なものは賃金とされます。また、実費弁済的な「出張旅費」や、会社支給の「作業服」など業務費に属するものは賃金とされません。

 

5.休職中の給与はどうなるのか

給与は労働の対価であるため、休職中は、会社が従業員に給与を支払う義務はありません。しかし、就業規則に休職中でも給与を支給する定めがあれば、支払われます。
なお、給与の支給なしの場合でも、会社に籍はあるため保険料の支払義務は生じます。

 


執筆者

税理士 田中利征

税理士、経営財務コンサルタント/田中税務会計事務所長/企業家サポートセンター 代表/戸田市経営アドバイザー


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