令和4年6月7日に、「経済財政運営と改革の基本方針2022(いわゆる骨太の方針2022)」が閣議決定されたことはお伝えしました。
報道では、主に、防衛費の増額のことや、財政健全化の目標期限が示されなかったことなどが取り上げられていますが、重点投資分野として掲げられている「人への投資と分配」では、企業経営や実務に影響があるような方針も示されています。
主要なものは、次のとおりです。
- スキルアップ(人的資本投資)
・2024年度までの3年間で4000億円規模の施策パッケージ
・リカレント教育、円滑な労働移動促進、同一労働同一賃金の徹底
- 多様な働き方の推進
・ジョブ型の雇用形態、裁量労働制、副業・兼業、選択的週休3日制度
・良質なテレワーク促進、フリーランスが安心して働ける環境の整備
- 賃上げ、最低賃金の引上げ
・賃上げ機運の一層の拡大(事業再構築・生産性向上等支援、適切な価格転嫁の環境整備)
・できる限り早期に最低賃金が全国加重平均1000円以上になることを目指す
- 「資産所得倍増プラン」
・NISAの抜本的拡充、iDeCo制度の改革等の政策を総動員し、本年末に総合的な「資産所得倍増プラン」を策定
また、社会課題の解決に向けた取組として掲げられている「包摂社会の実現」や、中長期の経済財政運営として掲げられている「個別分野の改革」として、次のような方針も示されています。
- 女性活躍
・男女間賃金格差の開示義務付け、男性の育児休業取得促進、女性の参画拡大、困難な問題を抱える女性に対する支援、女子学生等の理工系分野の選択促進
- 就職氷河期世代支援
・2023年度からの2年間を「第二ステージ」と位置付け、正規の雇用者の30万人増を目指す
- 持続可能な社会保障制度の構築
・全世代型社会保障の構築に向けて、世代間の対立に陥ることなく、全世代にわたって広く基本的な考え方を共有し、国民的な議論を進めていく。
・全世代型社会保障構築会議で、2040年頃を視野に、短期的及び中長期的課題を整理し、中長期的な改革事項を工程化した上で、政府全体で取組を進める。
どのような形で具体化されるのか? 動向に注目です。
<経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~(令和4年6月7日閣議決定)>
・本文:https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2022/2022_basicpolicies_ja.pdf
・概要:https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2022/summary_ja.pdf
2022/6/9