今回は、平成23年4月1日から新たに創設された、「パートタイマーの方が多い会社」さまにぴったりの助成金をご紹介します。 この助成金は、従来の「中小企業雇用安定化奨励金」と「短時間労働者均衡待遇推進等助成金」とが統合され、新たに「均衡待遇・正社員化推進奨励金」という助成金が創設されました。
1 助成金の概要
この助成金は、パートタイム労働者や有期契約労働者の職場環境や待遇を、よりよいものにするために作られたものです。 正社員への転換制度や正社員と共通の処遇制度などを「労働協約」または「就業規則」に規定します。 そのうえで、実際に該当するパートタイマーの方や有期契約労働者の方が出てきた場合、その事業主に対して助成金が支給されます。 なお、助成金の申請については、以下の2点を注意する必要があります。
●助成金申請にあたっての注意点 ◇支給対象となる事業主は、労働保険の適用事業主です。労働保険に加入していない事業所は申請できません。 ◇助成金の対象となる制度を、労働協約または就業規則に新たに規定する必要があります。 なお、就業規則を作成・変更した場合は、その制度を適用する前に労働基準監督署に届出を行う必要があります。
2 助成金の対象となる制度・支給額
①正社員転換制度 なじみのあるものとしては、「正社員登用制度」といわれるものです。 すでに制度がある企業は対象外とされ、これから新たに制度を作る場合が対象となります。
②共通処遇制度 正社員とおなじ資格制度を適用する制度を導入した場合に対象となります。
(※)正社員と共通の制度で、職務または職能に応じた3区分以上の評価・資格制度を設け、その格付け区分に応じた基本給、賞与などの待遇が定められており、2区分以上が正社員の処遇制度と同じであることが必要です。 ③共通教育訓練制度 正社員とおなじ教育訓練を受けさせる場合に、対象となります。
④短時間正社員制度 正社員と同じ給与体系を適用し、労働時間数が少ないため、給与も少ない、という「短時間正社員制度」をパートタイマーの方に適用した場合に対象となります。
⑤健康診断制度 これまでパートタイマーの方には健康診断を受診させていなかったところ、パートタイマーの方も受診対象とした場合に、対象となります。 なお、正社員の労働時間の4分の3以上のパートタイマーの方には、助成金申請にかかわらず、原則受診させなければいけないこととされています。
★上記、支給額に関する表は、厚生労働省HPより引用。 ◇それぞれの制度は、パートタイム労働者と有期契約労働者の両方、またはどちらか一方を対象とすることが必要です。 ◇支給対象期間は、制度導入から2年間(短期間正社員制度は5年間)です。
3 「パートタイマー」、「有期契約労働者」とは?
「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定義されています。 つまり、正社員より時間が短い方を指します。 よく、「正社員は月給」、「パートタイマーは時給」と考えられている方もいらっしゃいますが、給与体系ではなく、あくまでも「正社員よりも労働時間が短いか」という点で判断します。 ただし、正社員と同じ給与体系で、時間の短さに比例して給与が支払われるようであれば「短時間正社員」として取り扱われるため、「パートタイマー」には該当しません。
期間の定めのある労働契約を締結する労働者をいいます。 正社員は、基本的に「期間の定めなし」で契約します。 それに対して、「1年契約」や「半年ごとの契約」で働く方を「有期契約労働者」と言います。 ★ その他、中小企業事業主・中小規模事業主の範囲、就業規則の規定例など、詳しい要件については、気軽にお尋ねください。