急激な円高の影響により、生産量の回復が遅れている事業主の雇用維持を支援するため、雇用調整助成金及び中小企業緊急雇用安定助成金について、その支給に係る生産量要件が緩和されました。
生産量要件の緩和の概要
現行の生産量要件に加え、次のすべての要件に該当する場合にも、雇用調整助成金(大企業向け)及び中小企業緊急雇用安定助成金(中小企業向け)の利用が可能になります。 ●円高の影響により生産量等の回復が遅れていること ●最近3か月の生産量等が3年前の同時期に比べ15%以上減少していること ●直近の決算等の経常損益が赤字であること これは、円高の影響を踏まえ、3年前(リーマンショック前)の生産量との比較を可能にするものです。
円高の影響とは? 「円高の影響による輸出量の減少、輸出関係の受注の減少」、「円高の影響により取引先が海外への発注に移行したこと等による受注の減少」、「円高の影響による外国人観光客の減少」などとされています。 なお、「円高の影響による内需の冷え込みのため生産量が減少」など、円高の影響が明確に説明できないものについては、この要件の対象にならないようです。 注.上記の新たな要件が適用されるのは、大企業では対象期間の初日が平成22年12月14日から平成23年12月13日までの間にある場合、中小企業では対象期間の初日が平成22年12月2日から平成23年12月1日までの間にある場合に限ります。 なお、対象期間とは、助成の対象となる期間で、事業主の方が初回の計画届けを提出した際に自ら指定します(1年間)。生産量要件は対象期間ごと(1年ごと)に確認されます。
【参考】雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金とは?
雇用保険の適用事業の事業主であること
① 生産量要件を満たしていること(概要は次のとおり) 【通常の要件】 最近3カ月の生産量等と前年同期3カ月の生産量等を比較 ↓ 5%以上減少 (中小企業では、直近の決算等の経常損益が赤字であれば、5%未満の減少でも可) 【今回の要件緩和】 最近3カ月の生産量等と3年前同期の3カ月の生産量等を比較 ↓ 15%以上減少 +円高の影響 +直近の決算等の経常損益が赤字 ② 雇用を維持するために一定の休業、教育訓練及び出向を行ったこと
雇用調整助成金 | 中小企業緊急雇用安定助成金 | |
休業、教育訓練、出向に係る費用の助成率 | 2/3 | 4/5 |
解雇等を行っていない場合等 | 3/4 | 9/10 |
教育訓練実施に係る加算額 | 1人1日4,000円 | 1人1日6,000円 |
※一定の上限あり