コアタイムを設ける場合、行政解釈では、「コアタイムの開始から終了までの時間と標準となる1日の労働時間がほぼ一致している場合等については、基本的に始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねたことにならず、フレックスタイム制の趣旨に合致しない。」とされています。
「コアタイム」とは、必ず出勤していないといけない時間帯のことです。「フレキシブルタイム」とは、開始と終了の時刻を労働者の自主的な判断で決定できる時間帯のことです つまり、コアタイムの長さが1日の標準労働時間に近い場合は、始業時刻や終業時刻の選択の余地がなくなるため、フレックスタイム制とは認められません。 しかし、業務の都合等のため、コアタイムを日によって異なる時間帯としたり、長さに違いを設けたりすることは、フレキシブルタイムの時間が十分に取れる限り、必ずしもフレックスタイム制の趣旨に反するものではありません。 例えば、コアタイムが通常午前10時から午後3時だったとします。大事な会議のため、特定の曜日を午前9時から午後3時までとすることも可能です。 また、コアタイムを1日のうち2回に分散させることや、日によってコアタイムがある日とない日を混在させることも差し支えません。ただし、コアタイムの時間帯が日によって異なる場合には、それぞれについて就業規則および労使協定にその開始と終了の時刻を明記しておかなければなりません。
フレックスタイム制は、始業時刻や終業時刻を労働者に自主的に決定させる制度です。労働者の出勤時間がまちまちになるため、場合によっては、大事な会議が行えない等、会社の統制がとれなくなる可能性もあります。コアタイムとフレキシブルタイムを上手に利用しましょう。 また、緊急の会議等をフレキシブルタイムに行わざるを得ないような場合には、その趣旨を徹底して、自主的な出席を呼びかけましょう。 <社会保険労務士 PSR正会員 松田 将紀>