第6回目のコラムで、専門実践教育訓練を受けている(リスキリングしている)従業員に対して企業ができるサポートの一つとして「教育訓練休暇制度」の導入及び休暇の付与についてご紹介させていただきました。
中小企業がこういった制度を導入し休暇の付与を行うとなると、運用面でハードルが高いと感じる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。
「制度の導入に興味はあるが……」と少し二の足を踏んでいる方にぜひともオススメしたいのが、助成金の活用をしながら制度を導入・運用する方法です。
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そこで第7回目では、教育訓練休暇等を付与した際に受けられる「人材開発支援助成金」についてご説明いたします。
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過去記事はこちら
第1回「最近ニュースでよく目にするワードの「人的資本経営」って?」
第4回 リスキリングとともによく出てくるワードの「DX」とは?
第5回 「DX人材」の育成について:人材確保・育成に向けた対応策
第6回 DX人材の育成:専門実践教育訓練を受けている(リスキリングしている)従業員に対して企業ができるサポートとは
教育訓練休暇等を付与した際に受けられる「人材開発支援助成金」
「人材開発支援助成金」とは厚生労働省が実施する助成金です。本助成金は、事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等が助成されます。
主なコースとしては、
①人材育成支援コース
②教育訓練休暇等付与コース
③人への投資促進コース
④事業展開等リスキリング支援コース
があり、今回ご説明させていただくのは、「②教育訓練休暇等付与コース」となります。
人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース)
人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース)は、労働者の自発的職業能力開発を受ける機会の確保等を通じた職業能力開発および向上を促進するため、次の3つの助成が用意されています。
(1)教育訓練休暇制度
3年間に5日以上の取得が可能な有給の教育訓練休暇を導入し、実際に適用した事業主に助成されるものとなり、制度導入に対して「30万円」が支給されます。1事業主に対して1度限りの助成金となります。
(2)長期教育訓練休暇制度
30日以上の長期教育訓練休暇の取得が可能な制度を導入し、実際に適用した事業主に助成されるものとなり、制度導入に対して「20万円」が支給、有給の休暇に対して、1人につき1日6,000円 最大150日分の賃金助成が支給されます。
(3)教育訓練短時間勤務等制度
30回以上の所定労働時間の短縮および所定外労働時間の免除が可能な制度を導入し、実際に1回以上適用した事業主に助成されるものとなり、制度導入に対して「20万円」が支給されます。
■助成額
出典:厚生労働省「人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース・人への投資促進コース)パンフレット」
人材開発支援助成金を含む雇用関係助成金では、企業における賃金加算の取組みを支援するため、賃金を向上させた事業主に対して、助成額の引き上げが行われます。事後的に賃金要件または資格等手当要件のいずれかを満たした場合に別途申請し、割増し分を追加で受給することができます。経費助成額については上記【助成額】をご確認ください。
なお、「長期教育訓練休暇」および「教育訓練短時間勤務等制度」は、「人への投資促進コース」に位置づけられます。同コースの1事業所1年度当たりの限度額は2,500万円となっており、これは「長期教育訓練休暇」および「教育訓練短時間勤務等制度」を含んだ限度額となっています。
資料:厚生労働省「人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース・人への投資促進コース)パンフレット」
以上、人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース)について簡単にご説明させていただきました。申請要件などの詳細は取扱機関等にお問い合わせください。