首相官邸において、令和5年4月12日に開催された「第16回 新しい資本主義実現会議」の資料が公表されました。
今回の会議では、三位一体の労働市場改革の方向性について、議論が行われました。
議長である岸田総理は、この日の議論を踏まえ、次のようにコメントしています。
- リ・スキリングによる能力向上支援について
現状では、企業経由が75パーセントとなっている在職者への学び直し支援策について、効果を検証しつつ、5年以内をめどに、過半が個人経由での給付が可能となるようにする。
その際、企業を問わずスキルの証明が可能となるように、Off―JTでの学び直しに重点を置く。
また、雇用調整助成金について、在職者によるリ・スキリングを強化するため、休暇よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくするよう、支給率等の見直しを行う。
- 個々の企業の実態に応じた職務給の導入について
令和5年6月までに取りまとめる指針において、ジョブ型雇用の目的、人材の配置・育成・評価方法、社内公募のポスティング制度などについて整理するとともに、企業の実態に合った改革が行われるよう、多様な事例集を取りまとめる。
- 成長分野への労働移動の円滑化について
失業給付制度について、自己都合による離職者の場合、会社都合の場合と異なり、一定期間、失業給付を受給できないとされていることを踏まえ、要件を緩和する。
また、労働移動の円滑化を阻害しているとの指摘のある、退職所得課税制度について見直しを行う。
- 多様性の尊重と格差の是正について
中小・小規模企業の賃上げ実現には、先日の政労使の意見交換の場でも合意があったとおり、労務費の適切な転嫁が不可欠であり、取組を強化していく。令和5年6月までに労務費の転嫁の在り方についての指針を取りまとめる。
会議資料としては、「三位一体労働市場改革の論点案」が提示されています。
たとえば、成長分野への労働移動の円滑化の方向性の一つとして示された「退職所得課税制度の見直し」については、次のように記載されています。
○退職所得課税については、勤続20年を境に、勤続1年あたりの控除額が40万円から70万円に増額されるところ、これが自らの選択による労働移動の円滑化を阻害しているとの指摘がある。制度変更に伴う影響に留意しつつ、本税制の見直しを行ってはどうか。
さまざまな労働市場改革の方向性が示されています。今後の動向に注目です。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<第16回 新しい資本主義実現会議:岸田総理コメント>
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202304/12shihon.html
<第16回 新しい資本主義実現会議/資料>
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai16/gijisidai.html
※資料1が「三位一体労働市場改革の論点案」
2023/4/13