【専門家の知恵】海外との資金移動の基礎知識

公開日:2022年12月27日

 今日、個人の方も海外との間で資金の移動を行うケースは珍しくなくなりました。海外送金などを安易に行っていると思わぬ税務トラブルへと発展することもあります。本稿では、海外との資金移動で最低限知っておくべき知識を簡単にまとめました。

 

自身の海外口座への資金移動

 海外投資が盛んになっている今日、非居住者であり日本にいながら海外口座をお持ちで、当該口座との間で頻繁に資金の移動をされている方がたくさんおられます。

 自身の海外口座へ国内で保有している現金を送金して問題はないか、といったご相談を受けることもあります。敢えて税務上気になる点をあげるなら、資金の移動ではなくて資金の出所となります。過去の所得に比して不相当に多額な送金であれば、その資金はどこからきたのか、国税でなくても誰でも気になるところでしょう。資金の出所をちゃんと説明できる、例えば相続財産であるなどと説明ができれば問題はないでしょう。

 

海外から自身の国内口座への資金移動

 自分名義の海外口座から自身の国内口座へと送金をしたり、海外に在住している個人や外国法人から送金を受けることもあるでしょう。

 こうしたケースで気になる点は、この送金は所得税の課税対象とされはしないか、という点でしょう。課税対象とされるかどうかは、その資金がどこからきたものか、によって決まります。課税対象とされる代表例に、海外不動産から得た収入や海外で経営している事業から得た収入、があります。

 当然とも言えますが、海外に保有している資金を単に日本国内へ送金したケースであれば、原則として非課税となります。会社員の方が、海外出張先で開設した口座の残金を日本の口座へ送金する場合がこれに該当し非課税となります。

 

金融機関による海外送金の報告

 100万円以上の海外送金が行われた場合は、取扱い金融機関はその事実を税務署へ報告する義務があります。よって、100万円以上の海外送金であれば100パーセント課税当局は把握していることになります。

 金融機関が税務署へ海外送金の内容を報告する際に使う書類が「国外送金等調書」と呼ばれるものです。国外送金等調書に記載される主な内容は次のとおりです。

 1. 送金者又は受領者の住所と氏名
 2. 送金年月日
 3. 国外の銀行及び営業所などの名称
 4. 取次ぎをした金融機関の営業所などの名称
 5. 海外側の相手国名
 6. 口座の種類と口座番号
 7. 国際送金等をした金額
 8. 送金の原因
 9. その他必要な事項は備考欄へ記入

以上

 


執筆者

税理士 田中利征

税理士、経営財務コンサルタント/田中税務会計事務所長/企業家サポートセンター 代表/戸田市経営アドバイザー


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