【経営人事改革の視点】社員のモチベーションを下げるもの

公開日:2025年4月21日

 

 

【経営人事改革の視点】社員のモチベーションを下げるもの


<株式会社ビジネスリンク 代表取締役 西川幸孝>

 

最後通牒ゲーム

人間は、不公平あるいは理不尽に扱われることに対して強い怒りを覚えます。そして、それには生物学的な根拠があるのです。

最後通牒ゲームという心理学の実験があります。

この実験では、2人のプレイヤーが参加し、1人目(提案者)が一定額のお金、例えば10,000円をどのように分けるかを自由に提案します。2人目(応答者)は、その分け方を「受け入れる」か「拒否する」か、自由に選ぶことができるのです。受け入れると提案通りに2名にお金が分配されますが、拒否すると両者ともに何も得られないというルールが設定されているゲームです。

理論上、応答者はどんな提案でもゼロ円よりはましなので、それを受け入れるべきです。しかし現実には不公平な提案、例えば自分は9,000円を取って、相手には1,000円を渡すといった提案はしばしば拒絶されます。その場合は両者ともにお金を受け取ることはできなくなります。

人間は「公平さ」を重視し、不公平さ、理不尽さに対しては自分が損をしてでも拒否するというように感情的に反応するのです。拒否される可能性の高い不公平の程度は、文化や社会によって異なりますが、人間が基本的に不公平さを嫌い、自分が損をしてでもそれを拒否するというのが世界共通の心理特性なのです。

社員の離職も、身の回りで起きる理不尽さが重なっていって、それが臨界点を超えた結果起きるというのが基本形の一つです。

会社にはさまざまな理不尽さが存在します。パートタイマーで、1.5倍の仕事をしているのに、時給が数十円しか違わないといったことはよく見受けられます。職場に蔓延する謎ルールなどもめずらしくありません。経営者が気づかない内容のものがいくらでも存在し、それほど重大なものに見えなくても、当の社員にしてみるとそれらのネガティブ要因が大きなストレスとなっている可能性があるのです。

 

ネガティブ要因を減らす取り組み

 

プロフィール

西川幸孝

株式会社ビジネスリンク 代表取締役 
経営人事コンサルタント 中小企業診断士 特定社会保険労務士

愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、商工会議所にて経営指導員、第3セクターの設立運営など担当。2000年経営コンサルタントとして独立。2005年株式会社ビジネスリンク設立、代表取締役。2009年~2018年中京大学大学院ビジネス・イノベーション研究科客員教授。「人」の観点から経営を見直し、「経営」視点から人事を考える経営人事コンサルティングに取り組んでいる。上場企業等の社外取締役も務める。日本行動分析学会会員

「職場環境」関連記事

「労務環境の維持・改善」に関するおすすめコンテンツ

ピックアップセミナー

DVD・教育ツール

価格
4,950円(税込)

かいけつ!人事労務では、法改正対応や従業員への周知、教育・啓蒙等に活用できる小冊子を販売しています。

通常は各種10冊1セットの販売となりますが、実際に手に取って中身を見て導入するかどうかを検討したいといったご要望に応え、小冊子を1冊ずつ、計7種類のセット商品をご用意しました。

おすすめコンテンツ

TEST

CLOSE