[経営人事改革の視点]マニュアルの重要性
<株式会社ビジネスリンク 代表取締役 西川幸孝>
マニュアル人間という言葉の響き
「マニュアル人間」という言葉は、通常マイナスのイメージで使われます。
マニュアルという言葉で思い浮かぶのは、ハンバーガーチェーンなどのスタッフがそれを見て作業する姿かもしれません。
一般にマニュアルは定型的な作業を行うための手順書であり、それ以上のものではないというイメージがあります。
しかしながら、作業レベルであってもその内容を言語化するのはとても重要なことです。
なぜなら、言語化されることによってそれは「標準」になるからです。
もう一つの重要な点は、マニュアルで定義されている手順や方法は、その時点で会社が考える業務遂行の最善のもので、それが守られている限りは最善の行動が担保され、商品やサービスの品質のばらつきがなくなるということです。
もちろんマニュアル通りにやらない社員はいるわけですが、それが「標準」からズレていることが明白になります。
標準がなければ、それを見る者に違和感が生じても、どこがどう間違っているかは必ずしも明確ではありません。
個性の範囲内と捉えられる可能性もあります。
マニュアルという言葉を、「標準」という一般形に戻してみると、その機能の幅が広がります。
作業レベルの概念から、事業推進の考え方や方針といったものを含んだより広い概念となっていきます。
例えば、営業活動はどのような顧客あるいは潜在顧客を対象とするのか、どのような方針でアプローチしていくのか、標準的な営業ステップは何段階でそれぞれのステップで何を目的としてどのような活動を行うのか、などといった内容です。
マニュアルは企業文化の一部
プロフィール
西川幸孝
株式会社ビジネスリンク 代表取締役
経営人事コンサルタント 中小企業診断士 特定社会保険労務士
愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、商工会議所にて経営指導員、第3セクターの設立運営など担当。2000年経営コンサルタントとして独立。2005年株式会社ビジネスリンク設立、代表取締役。2009年~2018年中京大学大学院ビジネス・イノベーション研究科客員教授。「人」の観点から経営を見直し、「経営」視点から人事を考える経営人事コンサルティングに取り組んでいる。上場企業等の社外取締役も務める。日本行動分析学会会員