【専門家の知恵】パワハラと“嫉妬”

公開日:2018年5月15日

パワハラと“嫉妬”

<社会保険労務士たきもと事務所 瀧本 旭/PSR会員>

 

◆はじめに

 日本レスリング協会のパワーハラスメント(以下、パワハラ)問題が世間を賑わせた。

 もちろん当事者にしかわからないことばかりだが、報道によると選手や後任のコーチに対する「嫉妬」が原因の一つではないか。

 企業においても、パワハラ(パワハラに限らず、ハラスメント行為すべて)は大きな問題になっている。以下、職場のパワハラの原因になりうる「嫉妬」について検討してみたい。

 

◆パワハラの定義

 改めてパワハラを定義すると、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」をいう。

 パワハラが起こる原因は様々であり一概には言えない。パワハラ(と言われるまでにある行為)を助長する要素として、「欲求不満状態」と「背景となる体験」であると言われている。

 

◆嫉妬と欲求不満の関係

 マズローによると、人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されている。(「マズローの欲求5段階説」下図参照)

1805taki

 嫉妬が欲求不満から発生・助長されると考えると、「承認欲求」「所属欲求」との関連性が高いことがわかる。

 

◆欲求不満の背景

 感情(嫉妬)には過去の体験やプライベートも無関係ではないだろう。例えば、下記のような過去の体験もパワハラのきっかけ・助長原因になるかもしれない。

・怒鳴られた、暴力を受けた

・他人から怒られたことがない

・人から否定されたことがない

・家族関係が冷え切っている

 

◆予防策

 上記のような仮説をとると、パワハラの発生要素である感情のケアが大切であると言えそうだ。

 欲求不満(特に承認欲求と所属欲求)を満たすために「チームビルディング」等の活動(褒め合う社内文化の醸成、飲み会や社内運動会の実施等)、あるいは過去の体験と向き合うためのメンタルトレーニングやカウンセリングなどを実施することもいいかもしれない。

 いずれにせよ、社員の感情的不満を解消する仕組みを作ることは、パワハラ予防の取り組みの一つとなるだろう。

 

 

プロフィール

社会保険労務士たきもと事務所(http://www.takimotolmo-sr.com/)代表
社会保険労務士 瀧本 旭
「経営者を守り、会社を元気に!」するため、日々奔走中。

 

 

 

「ハラスメント」関連記事

「トラブル防止・対応」に関するおすすめコンテンツ

ピックアップセミナー

東京会場 2025/01/24(金) /13:30~17:30

【会場開催】はじめての給与計算と社会保険の基礎セミナー

講師 : ※各日程をご確認ください

受講者累計5,000人超!2009年から実施している実務解説シリーズの人気セミナーです!
給与計算と社会保険について基礎からの解説と演習を組み合わせることで、初めての方でもすぐに実務に活用できるスキルが習得できます。

DVD・教育ツール

価格
3,850円(税込)

かいけつ!人事労務では、法改正対応や従業員への周知、教育・啓蒙等に活用できる小冊子を販売しています。

通常は各種10冊1セットの販売となりますが、実際に手に取って中身を見て導入するかどうかを検討したいといったご要望に応え、小冊子を1冊ずつ、計6種類のセット商品をご用意しました。

おすすめコンテンツ

TEST

CLOSE