【専門家の知恵】節税に役立つ個人年金保険

公開日:2022年7月28日

 節税に使える保険に個人年金保険があります。保険での節税と言えば誰もが知っている「一般の生命保険料控除」があり、多くの人が確定申告や年末調整で手続きをされています。個人年金保険は、一定の条件を満たすものであれば、「一般の生命保険料控除」とは別に「個人年金保険料控除」として所得控除できる保険です。個人年金保険は、多くの民間の保険会社が取り扱う金融商品です。

 

所得控除を受けるための要件

 個人年金保険が「個人年金保険料控除」の対象とされるための要件は次のとおりです。

1. 年金受取人が契約者又はその配偶者のいずれかであること
2. 年金受取人は被保険者と同一人であること
3. 保険料払込期間が10年以上であること
 ※「一時払い個人年金保険」は、本要件を欠くので該当しません。
4. 年金の種類が確定年金や有期年金であるときは、年金受け取り開始が60歳以降で、かつ年金受取期間が10年以上であること

 

契約上の注意点

1.控除で必要となる「個人年金保険料税制適格特約」の付加

 「個人年金保険料税制適格特約」をつけることが必要になります。本特約を付加することで個人年金保険料控除の対象になり、一般の生命保険料控除とは別枠で控除を受けることができます。税制適格特約を付加しない場合でも、一般の生命保険料控除の対象となりますが、他の生命保険や学資保険などで控除枠を使い切っていたら節税にはなりません。

2.「個人年金保険料税制適格特約」による制限

 本特約を付加することで次のような制限がかかります。

(1)契約内容の変更
 ・個人年金保険料控除の条件を満たさなくなる変更はできない(年金受取人の変更など)
 ・年金額の減額(一部解約)により返戻金がある場合でもすぐには受け取れない
(2)配当金
 ・年金開始日前には受け取れない。また、途中で保険料の支払いを止めたくて払済保険に変更したい場合でも、加入して10年以内はできません。

 

所得控除の手続き

 所得控除の手続きは、一般の生命保険契約と同じく契約した保険会社から届く「保険料控除証明書」を使用します。そして個人事業主の方は確定申告で所得控除の手続きを、給与所得があり年末調整対象者の方は、年末調整時に所得控除の手続きを行います。

 


執筆者

税理士 田中利征

税理士、経営財務コンサルタント/田中税務会計事務所長/企業家サポートセンター 代表/戸田市経営アドバイザー


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