法人個人を問わず事業性の外貨預金を保有している事業者の方は、決算での取り扱いが気になるのではないでしょうか。そこで、外貨預金の取り扱いを法人、個人事業主でそれぞれ簡単にまとめてみました。
法人の場合
1.原則
決算日の為替レートで円換算を行い、為替差損益を認識(計上)します。なお、決算日が土日や祝日の場合は、取引所が休業となるため決算日より前の日の為替レートを使うことになります。
<評価事例>10月末決算法人
1. 4月30日に10,000ドルを外貨預金へ預け入れる(当日為替レート1ドル110円)
外貨預金10,000ドルは邦貨換算にして1,100,000円となります。
※ 10,000ドル×110円= 1,100,000円
会計の仕訳は次のとおりです。
外貨預金 1,100,000 / 普通預金 1,100,000
2. 10月31日決算 外貨預金保有高10,000ドル(当日為替レート1ドル140円)
外貨預金10,000ドルは邦貨換算にして1,400,000円となります。
※ 10,000ドル×140円= 1,400,000円
外貨預金の増額300,000円は為替レートの変動により生じたため、為替差益300,000円となります。
会計の仕訳は次のとおりです。
外貨預金 300,000 / 為替差益 300,000
2.「外貨建資産等の期末換算方法等の届出書」(以下「外貨届出書」という)の提出による評価方法の選択
「外貨届出書」を税務署へ提出することで、期末換算の方法を選択することができます。期末換算の方法を「発生時換算法」と指定すれば、決算で再換算する必要が無くなります。
個人事業主の場合
個人事業で12月31日において外貨預金を保有している場合、法人のように年度末の為替相場で換算する必要はありません。理由は、所得税では法人税法にある期末換算に関する規定が存在しないからです。
プロフィール
税理士 田中利征
税理士、経営財務コンサルタント/田中税務会計事務所長/企業家サポートセンター 代表/戸田市経営アドバイザー