先日、償却資産税の申告をされていない事業主の方からご相談を受けました。償却資産税は、土地及び家屋以外の事業の用に供することができるパソコンや複合機などの償却資産に掛かる固定資産税(地方税)の一種です。多くの事業者は、償却資産を保有していても少額なケースが多いのですが、少額であっても該当する償却資産を所有していれば、毎年1月1日現在の償却資産の状況等を記載した申告書を、1月31日までに提出する必要があります。
本稿では、放っておきがちな償却資産税の概要についてみていきます。
償却資産税とは
1.課税時期
毎年1月1日現在に所有している償却資産に対して課される地方税のことで、固定資産税の一種です。申告書の提期期限は1月31日です。
2.償却資産とは
償却資産とは、事業用資産のうち土地、家屋以外の資産(パソコン、フォークリフト他)をいいます。
3.主な課税対象資産
構築物、機械装置。器具備品等が課税対象資産とされ、車両運搬具(自動車税、軽自動車税の課税対象となるもの)、ソフトウェア、繰延資産等は課税対象とされません。なお、耐用年数1年未満のもの、10万円未満の償却資産などは対象外となりますが、少額額減価償却資産は対象となるため注意が必要です。
(具体例)パソコン、コピー機、ルームエアコン、応接セット、内装・内部造作等(賃借人(テナント)が取り付けた場合)、看板(広告塔、袖看板、ネオンサイン)、LAN設備等
4.税額
償却資産税=「課税標準額×税率(標準1.4%)」
なお、税率は市区町村ごとで異なります。
5.免税点
償却資産の課税標準額の合計が150万円未満の場合は課税されません。
不申告
正当な理由がなくて償却資産を申告しなかった場合は、地方税法第386条他の規定により、過料を科せられることがあります。また、虚偽の申告をした場合は、地方税法第385条の規定により罰金を科せられることがあります。
申告漏れ
過去における申告漏れの資産が判明した場合は、現年度だけでなく資産取得の翌年度まで遡及して課税が行われ(最大で現年度を含め5年度分遡及)、遡及分の税金は次の納期に一括納付することになります。
執筆者
税理士 田中利征
税理士、経営財務コンサルタント/田中税務会計事務所長/企業家サポートセンター 代表/戸田市経営アドバイザー