日本商工会議所・東京商工会議所は、「最低賃金引上げの影響および中小企業の賃上げに関する調査」を実施し、その結果を取りまとめ公表しました(令和4年4月5日公表)。
この調査は、最低賃金について、平成28年(2016年)以降、一昨年を除き、中小企業の経営実態を超える3%台の大幅な引上げが行われてきたことを踏まえ、中小企業の経営への影響や負担感等を把握し、今後の要望活動に活かしていくために実施されているものです。
今回公表されたのは、全国の中小企業を対象として令和4年2月に実施された調査(回答企業数3,222社)の結果を集計したものです。調査結果のポイントは、次のとおりです。
●昨年10月の最低賃金引上げ(全国加重平均28円(902円→930円))を受け、最低賃金を下回ったため、賃金を引上げた企業(直接的な影響を受けた企業)の割合は40.3%。
●現在の最低賃金額の負担感について聞いたところ、「負担になっている」(「大いに負担になっている」、「多少は負担になっている」の合計)と回答した企業の割合は65.4%。
業種別では、コロナ禍で大きな影響を受けている「宿泊・飲食業」で90.9%と最も高い。
●今年の最低賃金額の改定について、「引下げるべき」もしくは「引上げはせずに、現状の金額を維持すべき」と回答した企業の割合の合計は39.9%と、前年調査から16.7ポイント減少。
一方、「引上げるべき」(「1%(9円程度)以内の引上げとすべき」、「1%(9円程度)超~3%(28円程度)以内の引上げとすべき」、「3%(28円程度)超の引上げとすべき」の合計)と回答した企業の割合は、前年調査から13.6ポイント上昇して41.7%となり、「引下げるべき」と「引上げはせずに、現状の金額を維持すべき」の合計(39.9%)を上回った。
●令和4年度に「賃上げを実施予定」と回答した企業の割合は45.8%。
また、「賃上げを実施予定」と回答した企業のうち、約7割(69.4%)が「業績の改善がみられないが賃上げを実施(防衛的な賃上げ)予定」と回答。
このところの最低賃金額の引上げは、中小企業の経営に負担感を与えているようです(65.4%の中小企業は、大なり小なり負担になっていると回答)。一方、引上げに前向きな中小企業が意外と多いようです(41.7%の中小企業は、今年の最低賃金額を引き上げるべきと回答)。
なお、調査結果を細かくみると、業種間の差は大きいようなので、今後の最低賃金額の引上げにあたっては、その辺りへの配慮が欠かせないかもしれませんね。詳しくは、こちらをご覧ください。
<「最低賃金引上げの影響および中小企業の賃上げに関する調査」の集計結果について~最低賃金の大幅な引上げにより中小企業経営への影響や負担感大~>
https://www.jcci.or.jp/research/2022/0405160000.html