コロナ明けの今こそ再確認!勤務間インターバル制度とは?
<株式会社ブレインコンサルティングオフィス 西田牧子>
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勤務間インターバル制度をご存知でしょうか?
2019年の働き方改革の一環として努力義務化され、厚労省の「過労死等の防止のための対策に関する大綱」では、2025年までに勤務間インターバル制度を導入している企業割合を15%以上に引き上げる目標を掲げ、特に導入率が低い中小企業への周知・導入へ向けた取組を推進するとしています。
ところが、2023年5月に報告された2022年度の実施状況報告では、勤務間インターバル制度を導入した企業割合は2021年より上昇しているものの5.8%と同大綱が掲げる2025年までに15%という目標にはほど遠い結果となっており、さらに、勤務間インターバル制度を知らないと回答した企業の割合は2021年の15.4%から17.1%へ増加がみられました。
【出典:厚生労働省 第24回過労死等防止対策推進協議会資料】
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001100508.pdf
コロナ禍の3年間を通じて在宅勤務など多様な働き方が増え、さらにはコロナ明けで出社勤務も増えてきた今、あらためて勤務間インターバルについて確認していきましょう。
勤務間インターバル制度とは
勤務間インターバル制度とは、一日の終業時間から翌日の始業時間まで一定時間以上の休息時間を確保するという制度です。
EUやドイツ、フランスなどでは1990年代から導入され日本でも2019年の働き方改革により、労働時間等設定改善法に「事業主は、健康及び福祉を確保するために必要な終業時刻から翌日の始業時刻までの時間の設定(勤務間インターバル)を講ずるように努めなければならない」(2条1項)と規定され、努力義務となりました。
勤務間インターバル制度の規定例としては、次の3つが考えられます。
①前日に時間外労働を行い、インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複したとき、働いたものとみなして遅刻控除等を行わない。
②前日に時間外労働を行い、インターバル時間と翌日の所定労働時間が重複したとき、翌日の始業時刻を繰り下げる。
③一定の時刻以降の時間外労働を禁止する。
【出典:厚生労働省資料「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~」】
https://www.mhlw.go.jp/content/000474499.pdf
「一定時間」についてはヨーロッパ諸国では11時間以上と設定するケースが多くみられます。日本においては9時間以上11時間未満、もしくは11時間以上が推奨されています。
制度導入の3つのメリット
長時間労働による過労死防止対策として推進されている勤務間インターバル制度ですが、会社と従業員双方に下記のようなメリットがあります。
プロフィール
社会保険労務士 西田牧子
株式会社ブレインコンサルティングオフィス/ APブレイン社会保険労務士事務所
総合商社財務部を経て会計事務所に勤務し、会計業務や給与計算を担当。現在はAPブレイン社会保険労務士事務所で給与計算や社会保険手続等、実務を中心とする顧問業務や企業の内製化コンサルティングに従事する。㈱ブレインコンサルティングオフィスの実務安心パック®シリーズの開発にも携わっている。