仕事と介護の両立支援コラム第31回
「介護のある生活」実際の事例③4年間の介護実体験「W介護が始まる」<後編>
<一般社団法人日本顧問介護士協会 代表理事 石間洋美>
「介護のある生活」実際の事例②では、祖父が転倒し頭部を強打、外傷性クモ膜下出血と診断後、認知症状が見られるようになり、4年間に渡り介護に関わった方の実体験をご紹介させていただきました。
>>>「介護のある生活」実際の事例②4年間の介護実体験<前編>
>>>「介護のある生活」実際の事例②4年間の介護実体験<後編>
今回は、その祖父を介護している中で、祖母が脳梗塞を発症し、半身に麻痺の後遺症が残ったことから、2人分の壮絶な介護が始まったという実体験の後編です(>>>前編はこちら)。
今はまだ介護を身近に感じていない人でも、少しでも多くの方が自分事として捉えてもらい、今できる準備を意識していただきたいと思います。
【家族構成】 祖父、祖母、長男、長男の嫁、娘、息子の6人家族。 娘と息子は実家を離れ生活中。長男は県外へ単身赴任で2週間に1度帰省する。 実質、祖父、祖母、長男の嫁の3人暮らしを約20年続けていた。現在、祖父は要介護認定を受け在宅介護中。
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在宅介護をする母の負担が大きくなり、別の介護事業所へ変更
祖母の人見知りの性格が出て、宿泊サービスがなかなか慣れない。そうなると在宅にいる時間が増え介護者である母の負担が大きくなった。
帰宅願望が強い利用者や、ケアに手がかかるようになると、この事業所では徐々に臨機応変な対応もしてもらえなくなり、当初の介護プラン通りにはいかなくなった。これでは、母も介護疲れで倒れてしまうため、別の小規模多機能型居宅介護の事業所へ変更することを決めた。
新しい介護事業所では、手のかかる難しい祖父母を上手にケアしてくださり、有難いことに長く利用することができた。
また、毎日夕食まで済ませて帰ってきてくれること、宿泊も定期的に組み込んでくれ、母の負担は大幅に軽減した。
ここまで事業所の方に協力してもらえなかったら在宅介護は続けられなかったと思う。
この時、「施設入居も視野に入れて考えるときがくるかもしれない」と思い、念のため近くの特別養護老人ホームに申込だけはしておいた。
「介護者がつぶれてしまっては意味がない」施設入居を選択
プロフィール
静岡福祉医療専門学校医療福祉情報科卒業後、介護施設にて介護に携わる一方、介護事務業務、相談業務、マネジメント業務、管理業務も経験。医療福祉接遇インストラクターの資格も取得し、お客様満足度向上のための研修講師も務める。2020年4月に一般社団法人日本顧問介護士協会を立ち上げ、「介護で困る人と困る量を圧倒的に少なくする!」を目標に掲げ活動している。
【連載】仕事と介護の両立のために知っておきたい大事な知識
仕事と介護を両立するために知っておきたい大事な知識と、企業が両立支援していく上でのポイントについて、専門家による解説記事を連載しています。
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