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【専門家の知恵】マイナンバー法最初の関門

マイナンバー法最初の関門

<メンタルサポートろうむ 李 怜香/PSR会員>

 今年10月から、マイナンバー法の個人番号(マイナンバー)の発行が始まる。
 マイナンバーは、規模の大小を問わず、すべての会社で対応しなければならない。そして、そのすべての会社で、最初にやらなければならないこと、これが今回のテーマである。

 

◆従業員のマイナンバー取得前にやるべきこと

 マイナンバーについて、すでに情報収集しているみなさんは、最初に、全従業員からマイナンバーを提示してもらい、本人確認を行う手間を心配しているのではないだろうか。
 従業員本人だけではなく、その扶養家族も対象になるし、パート、アルバイトすべてが対象になる。
 本人確認については、どのような手順で行うのか、現場が混乱せず、最低限の手間ですむよう、前もって考慮しておく必要がある。

 だが、その前にもうひとつ、重要な仕事があるのだ。
 マイナンバーは、今年10月から、個人あてに「通知カード」という形で郵送される。
 こう書くと「通知カード」というハガキが郵送されることを想像するが、実際には、簡易書留で、住民票の家族ごとにまとめて郵送される。

 

◆マイナンバー通知カードに関わる3つの危険性

 第一に、簡易書留ということは、だれかが家にいないと受け取れない。不在の場合は、再配達、職場などに配達、さらには郵便局で受けとる、ということもできるので、郵便配達時間に家にだれもいないことが予想される場合は、このような形で、確実に受け取れるよう、従業員に徹底しておく必要がある。

 第二に、通知カードは、現在の住民票の住所に郵送される。
 従業員の中に、引っ越しはしたが、まだ住民票の異動手続きをしていない人はいないだろうか。
 親元を離れて一人暮らしをしている場合は、まだ実家に郵送されるのでいいのだが、そうでない場合は、前の住所に郵送されてしまう。郵便局に転居届を出していても、転送期間は1年なので、それを過ぎてしまえば、やはり前の住所に配達される。
 そのようなことがないよう、従業員の住民票の住所が現住所になっているか確認し、手続きがすんでいない場合は、転出・転入の届出をするよう指導しなければならない。転出届は郵送でもできるが、転入届は基本的に市町村役場の窓口に行く必要がある。忙しい時期に、役所に行くために、遅刻、早退、外出されたくなければ、時期的にある程度余裕をもった対応が必要だろう。

 最後に、そして、いちばん心配なのが、通知カードの紛失である。
 社労士として手続き業務を行っていると、社会保険の資格取得時に、年金手帳を紛失してしまい、なかなか会社に提出されない、という事態にたびたび遭遇する。
 年金手帳は、日本国内に数年にわたって居住している20歳以上の人は、必ず全員がもっているはずだ。しかも、ぺらぺらの紙1枚ではなく、手帳型になっており、なんとなく重要な感じが漂っている。しかし、紛失する者が後をたたない。
 マイナンバーの通知カードは、クレジットカードと同じ大きさである。年金手帳よりも、紛失しやすいことを考えておかねばならない。

 また、すでにマイナンバー広報用のテレビCMが始まっているが、これから10月まで、どれほど政府による広報が行われるか定かではない。従業員が、マイナンバー通知カードの重要性に気づいておらず、なにげなく廃棄してしまうこともありうる。政府広報だけに頼るのではなく、「マイナンバーの通知カードが送られてきたら、たいせつに保管すること」と従業員に徹底しておく必要がある。

 もうひとつ、大事なものだと思ってしまいこんだのはいいのだが、いざ会社で「持ってきて」と言われたときに、もらってから何ヶ月もすぎていたので、どこに入れたかわからなくなってしまった、というパターンの紛失もありうる。
 実際に従業員のマイナンバーを使う機会は、中途退職者でなければ、2017年1月末までに提出する源泉徴収票への記載が初めて、という場合も多いだろう。
 実務的には、そのときまでに従業員からマイナンバーを取得しておけばよいのだが、紛失の危険を考えれば、通知カードが送られてきてから、なるべく早く、会社におけるマイナンバー取得を行っておいたほうがよいだろう。

 まとめると、以下の3点を、確実に行うこと、これが、マイナンバー対応の最初の関門である。

 1.簡易書留で送られてくるので、再配達などを利用し、確実に手元に届くよう従業員に徹底する。
 2.住民票が現住所と違っていないか確認し、違っている場合は早急に手続きをするよう従業員に指導する。
 3.従業員が通知カードを紛失しないよう徹底し、なるべく早めに会社でのマイナンバー取得手続きを行う。

 

 

プロフィール

psr ri
社会保険労務士、産業カウンセラー、セクハラ・パワハラ防止コンサルタント 李 怜香
メンタルサポートろうむ(http://yhlee.org)代表
岐阜県生まれ。早稲田大学卒業。職場のコミュニケーション、メンタルヘルス、ハラスメント防止について、ご相談、研修を承ります。15年以上の経験で、法律と心理、双方から中小企業をサポートしています。

 

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