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【専門家の知恵】ペティ=クラークの法則に従った生き方とは?

ペティ=クラークの法則に従った生き方とは?

<株式会社WBC&アソシエイツ 大曲 義典/PSR会員>

 

◆第一次産業から第二次産業への雇用移動

 国家というのは、「民」を食べさせるために経済的発展を遂げてきたと考えてもよさそうだ。日本が本格的に国家という体裁を整え始めた明治時代から今日までの産業構造の変遷を見れば、それは一目瞭然である。

 新たな国家建設を至上命題としていた明治期においては、まず、人口を維持・増加させるに必要な食糧の確保が最も重要なことだった。当時は、農業の生産性が低かったため、言わば人海戦術で多くの人が第一次産業に従事せねばならなかった。

 しかし、時代が進むにつれ、食糧生産のための農地改良や農機具の発達によって、生産性が向上し、第一次産業への従事者は減少していった。同時に、工業化が国家の基本政策として選択されるようになる。日本でも、殖産興業として官営の「富岡製糸場」や「八幡製鉄所」が作られたりもした。明治中期から第二次世界大戦後の経済復興期は、まさにこのような状況の中、第一次産業に従事していた人々が第二次産業へ雇用移動していった。

 

◆第二次産業から第三次産業への雇用移動

 ところが、第二次産業への雇用増加は、一定時点で臨界点に達し、停滞から減少へと転じてしまう。労働生産性が上がり、産業に従事する人を多くは必要としなくなるためである。そして、第二次産業の雇用は第三次産業に移動することになる。

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 上図は、昭和5年からの産業別就業者数の構成割合だが、昭和初期には50%を超えていた第一次産業の就業者数は、75年後の平成17年にはわずか5%となっている。同時に第三次産業の就業者数は4000万人を超え、全就業者数の7割を占めるに至った。

 このように経済発展とともに各産業の就業者数が変化していくことは、「ペティ=クラークの法則」として知られているところである。現代日本は、まさに第三次産業中心の、脱工業化社会・サービス産業社会と呼ぶにふさわしい産業構造に転換しつつあるわけだ。ちなみに、総務省統計局の2005年国勢調査資料から作成した世界の先進国の産業構造は下図のとおりとなっている。これによると、英米の第三次産業の就業者割合が先進国の中でも突出して高くなっているのがわかる。おそらく、製造業の凋落に伴い、金融サービス業へ雇用が大きくシフトしたためであろう。

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◆第三次産業の問題点を克服するためには

 ところが、この第三次産業は問題点もはらんでいる。第二次産業のように大幅な生産性の向上が見込めず、雇用者の賃金が上昇しにくいことである。いわゆる高度成長期の第二次産業全盛時代には同時に満たすことができた「所得の均等化」「雇用の拡大」「国民負担の抑制」といった、好ましい経済社会環境のいずれかを犠牲にしなければ、国家の機能を全うできなくなってしまうのだ。

 北欧などは「国民負担の抑制」を犠牲にして高負担の福祉国家を目指した。英米は「所得の均等化」を犠牲にして格差の拡大を是としてきた。現在の日本を見ていると、時代のトレンドを無視して三兎を追っているように思えてならない。国民の意思として、どれかを諦める選択をしなければならない状況に至っているにもかかわらず、だ。

 我々は、いい加減、政治的ポピュリズムに踊らされるのは止めにしなければならない。それは、思考停止状態そのものであるからだ。企業経営者であろうと一般生活者であろうと自らの思考回路に通電しておかなければ誰も助けてはくれない社会を生きているのだ。

 私は、仕事の出来不出来の原因の一つに、時代の流れへの情報感度の低さが挙げられると思っている。これを探知しようとしないから、自らの立ち位置も理解できず、未来への見通しも立てられなくなってしまう。もう一つは、自ら考え自ら行動する意欲と実践力を持っているか否か、だろう。順序としては逆かも知れないが、私たちは、ペティ=クラークの法則に従って時代が転換している今だからこそ、「自らの頭で考える癖をつける、そのうえでアンテナを張り情報を取り入れる、それらの情報をクロスさせて未来への道筋を立てる」、このような好循環を作っていくことが最も求められているのではなかろうか。それができれば、明るい未来が待ち受けているのだろう。

 

 

 

プロフィール

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社会保険労務士 ファイナンシャル・プランナー(CFP®) 1級DCプランナー 大曲 義典
株式会社WBC&アソシエイツ(併設:大曲義典 社会保険労務士事務所)
1万円札を積み上げたら1万㎞の高さ、重さは10万トン。日本の抱える借金残高1000兆円の実態です。社会保障費の増加が主因です。事の本質を捉え、ゆでガエル状態からの脱却を目指した経営戦略支援を心がけています。

 

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