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【専門家の知恵】根性の時代を乗り越えるもの

根性の時代を乗り越えるもの

<オフィス クロノス 久保 照子/PSR会員>

 

 平昌オリンピックが終わった。 見るともなく見ていたが、羽生選手の優勝をかけたステージは、心配で結果が分ってから見る始末だった。

 優雅なジャンプはアーティストである。 オリンピックのモットー、“より速く、より高く、より強く”というアスリートの世界を超えた。

 度々繰り返されるメダリストへのインタビューに共通していることは言語化だ。 彼らは競技のこと、体調のこと、期待や責任、支援者について自らの言葉で語ることができる。

 客観視できるスマートさが必要とされているようだ。 そして、根性や熱血の時代ではない、と感じた。

 働き方改革が目指すものの一端を例示するような出来事だった。

 


◆自主性と言語化は関係している

 働き方改革では、社員の自主性を重んじることで、より生産性を向上させるとしている。

 自主的に動く社員を育成することはそれほど優しいことではない。 多くの研修もある。 しかし、今回はより内面に向かうことで自主性を呼び覚ますことを考えてみる。 それは感情と素直に向き合うことから生まれる気づきに期待するものである。 

 現状を垣間見る、興味深い調査結果がある。根性の影に置き去りにされてきた“感情”に着目した調査だ。 1月31日に公表されたリクルートキャリアによる“転職決定者に聞く、入社後にとまどったことは?”だ。

 第4次産業革命と言われる産業変革期の今、転職者が増加している。 転職者が入社後に活躍しやすい環境を整える重要性が高まっていることによる調査だ。

 対象者を異業種/同業者への転職でくくった場合の結果では、前職との仕事の進め方ややり方の違いを筆頭に、社内や業界用語等、専門知識が分らない、職場ならではの慣習や規範になじめないの順番に、違う、分らない、なじめない、と“とまどい”を感じている。 

 調査では、条件面のすりあわせだけでなく、仕事の進め方ややり方など、職場単位での細かなすりあわせが、転職者の入社後活躍に向けたキーポイントとなる、としている。

 この“とまどい”を放置するとどうなるのだろうか。 もやもやとした気持、不満、迷いは内的な混乱を招く。 やがて“やる気がでない”、“転職したい”、重症化するとメンタルな障害を引き起こすなどマイナスに向かっていく危険がある。 

 


◆感情と向き合うことがキーワード

 具体的な方策をたてるにあたり、とまどい、という感情の底にある正体に気づくプロセスが大切だ。 

 なぜ、感情を大切にするのか。 感情と個の関係を見てみよう。
 
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 これは個を形作る要因と循環のイメージだ。 カウンセリングなどでは傾聴することで、相談者の内的感情の言語化を支援する。

 話してすっきりした、というあれだ。 カタルシス、感情が浄化されることで、開放される状態になる。

 自分を無条件に受け入れてくれる聞き手に話すことにより、自分を縛っていたものから次第に開放され、心と素直に向き合い、本心に耳を傾けるようになる。 もやもやしていたものの正体に気づく。

 そして何をやるべきか、どうありたいのかが分ってくるのである。 それは、カウンセリングの時かもしれない、音楽を聴いている時、散策の時かもしれない。 職場で、日常の些細なことで、または人生の転機で、大きく、小さく、循環して個を成していく。 けっして見逃してはもったいないものなのだ。

 あるときは大きな仕事のインスピレーションもしれないし、ある時は小さな心配を解決してくれるかもしれない。

 やる気の問題だ、と一蹴できない時代である。 しかるべき手続きが必要なのである。

 昭和の働き方は、根性熱血という鎧を纏って戦っていた時代と言えそうだ。 感情はずっと息をこらして隠れていた。 しかしながら、亀裂が生じた。 今後はもっと恐ろしい時代がくるかもしれない。

 だからこそ、感情と向き合う、言語化というプロセスで人を育てていくことがこれからの時代の人事のキーワードだ、と考えている。

 

 

プロフィール

sharoushi chie
人材育成コンサルタント 社会保険労務士 久保 照子
オフィス クロノス

 

 

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