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【専門家の知恵】小さな凝りを見逃さない

小さな凝りを見逃さない

<オフィス クロノス 久保 照子/PSR会員>

 

 法律用語に「過失」がある。 誰でもが明らかにわかる、それ一つだけで重大な過失にあたるものがある一方、ひとつひとつはさほど重大ではなく、目にみえない小さな過失がある。

 それらが積み重なることで重大な過失を構成する場合がある。

 この記述、病気とも思えぬ、かと言って過激な運動をしたわけでもないのに我が身から去らぬ“凝り”と、、、重なる。 そして、昨今の成熟した企業に起きている問題を連想した。

 日々おこる諸々の中に、特別荷重なことをやっているわけではないのに、疲れが、澱が、小さな間違いが積みあがっていく。 それも知らぬ間に。

 人の体においては、弱いところを庇うように体型を変えることで対応している場合もあるという。

 


組織も凝る

 知らぬ間の主は習慣。 人間は習慣の僕である。 最初は大変でも慣れてしまえばどうということなく、すらすらとできるようになる。

 よき習慣なら結構だが、悪しきものもある。 小さな不自然さ、疲れや過失は見えにくい。ほっておいても分からず、慢性化すると異常であることにも気づかなくなる。 
 異常が轍をつくり、倣いとなると重症化することは、人間も組織も同じであろう。

 企業の凝りの発見にはさまざまなチェック機能があるはずだ。社内検査、内部外部の監査。
健康診断やストレスチェック等など。

 問題は形骸化による機能不全。 さらに高齢化、人材不足が招く組織の代謝低下など、巡りが悪くなる要因は多いのが現状だ。

 最近の事例から学ぶことは、働く人の高齢化ばかりでなく、企業の年齢をリスクとして捉えることも必要だということだ。


小さな凝りに気づくことからはじめてみよう

 危険は小さいうちに見つけることが肝要だ。 それも早く。大きな問題を発生させないために。 

 何よりも気づくことが大切。 個人レベルですぐにできることがある。 記憶力に対する思い込みと思考の凝りを体感できるゲームだ。 

 最低4人~6人でグループを作る。講師役は1人。

 ① 各人から、身近な名詞を30個になるまで上げてもらう。講師は番号をふり、紙に記録する。
 ② 講師は30個の名詞を、覚えて下さいね、といい、2回ほど読み上げる。
 ③ 覚えているか、各人に聞く。
 ④ 覚えているのは数個位。でも、全部覚えられるようになりますよ、と言って、カードを配布する。 名詞10個を1枚に書けるサイズのものを6枚1セットで各人に渡す。
 ⑤ 最初に上げた30個を3枚のカードに番号をつけながら、10個づつ書く。これを基本カードとよび、全員で共有する。
 ⑥ 次はテーマごとに、1テーマにつき10個をカードに書く。これをテーマカードとよび、個人別になる。
 ⑦ 最初のテーマは、現在地まで来る途中で見たもの、名詞で10個。
 ⑧ 2番目のテーマは行ってみたい国や場所を10カ所。
 ⑨ 3番目のテーマは興味のある人、有名人等10人。
 ⑩ 次に基本カード1枚とテーマカード1枚を1セットとする。 1人3セットもつことになる。基本カードの1~10はテーマ1、11~20はテーマ2、21~30はテーマ3、という組み合わせ。
 ⑪ 基本カードとテーマカードを並べ、それぞれの番号に呼応する番号にある名詞を関連づける作業をする。 関連づけは、突飛なものとするよう指示する。 講師は番号を読み、5秒ほどの時間を与える。長くてはいけない。
 ⑫ テーマごとにやり、3セット考えてもらう。
 ⑬ そしてゲームを始める。
 ⑭ 2人1組になる。 基本カードとテーマカードを並べる。 テーマごとにやる。1人が基本カードの番号を読み、相手は基本カードに書かかれた名詞を当てる。 基本カードの30の名詞に対しておこなう。
 ⑮ 次はもう1人と交代して、同じことをやる。

(参考図書 渡辺 剛彰著 “一発逆転ワタナベ式記憶術”)

 はてさて、結果は? 

 最初は、30個のうちせいぜい、3つ4つしか覚えていない。 ところが、覚えられるようになる。

 キメ手は、名詞どうしを関連づける“非日常的”、“あり得ない”発想である。 

 例えば、街路樹の花水木とラーメンを関連づける場合、花水木という名のラーメン屋では当たり前過ぎて記憶に残らない。 これを花水木にラーメンが垂れさがっていた、とイメージすると何日たっても忘れない。 迷ったものは忘れる。

 年だからとか、記憶力が悪いからではなく、訓練を怠ったため脳が硬くなっているだけとわかる。

 テーマの難易度や対象を変えることで展開可能なツールである。

 参加者からは、“常識に囚われていると気づいた”、“記憶に自信が持てそうだ”など効果が見え易い。

 柔軟な思考へのきっかけ、記憶力は訓練できるというきっかけにもなる。

 凝りは警告だ。 凝り対策はリスクマネジメントである。

 刀剣、大砲、拳銃、戦闘機。 戦い方は今も変貌を続ける。変化への対応の結果は歴史が物語っている。 産業界においてもしかり。

 今大きな変革の波がひたひたと迫っている。 成熟に安住していられないようだ。

 危機感が必要だ。 小さな凝りからも危機への対応の糸口は見える。

 

 

プロフィール

sharoushi chie
人材育成コンサルタント 社会保険労務士 久保 照子
オフィス クロノス

 

 

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