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【専門家の知恵】"人が動く"コミュニケーション術(10)~作「終了報告」の受け方~

"人が動く"コミュニケーション術(10)~作「終了報告」の受け方~

<コンサルティングハウス プライオ 大須賀 信敬/PSR会員>

 

◆「感謝の気持ち」が表れているか

 リーダーは日々の業務で、部下にさまざまな作業を命じるであろう。たとえば、部長が部下にコピー取りを命じたとする。しばらくして、コピーを取り終えた部下が、出来上がったコピーを持参して「部長、コピー終わりました」などと終了報告に来る。このとき、皆さんであればどのような態度で部下と接するだろうか。 

 このような場面でさまざまな職場のリーダーがどのように対応するかを確認してみると、
 ・「うん」「ああ」などと言いながらコピーを受け取る。
 ・無言でコピーを受け取る。
 などのケースが数多く見受けられることに気付く。しかしながら、リーダーのこのような対応は、決して好ましい態度とは言えない。コピー取りという作業を部下にしてもらったことに対する「感謝の気持ち」が表れていないからである。

 コピーを取るなどの難易度の低い作業であったとしても、完了したことに対して「助かったよ。ありがとう」など「感謝の気持ち」を表すリーダーの“言葉掛け”があれば、業務や職場に対する部下のモチベーションは各段に上がるものである。その結果、雑務といわれるような作業を命じられたとしても、“前向き”な気持ちで取り組める可能性が高くなる。人間には周囲の期待に応えようとする特質があるからである。

 ところが、コピーを取った後の終了報告に対して「感謝の気持ち」を示さず、至極当然のごとく、出来上がったコピーを受け取るようなリーダーの態度は、部下のモチベーションを著しく低下させてしまうことがある。その結果、職場の雰囲気の悪化、生産性の低下、離職率の上昇などにも繋がりかねないので注意が必要である。

 

◆人間は“理屈”ではなく“感情”で動く

 このような対応をとるリーダーの中には「仕事なのだから、部下が上司の指示に従うのは当たり前である。当たり前のことを行っただけだから、感謝は必要ない」などと考える方もいるようである。

 確かに、組織の中では下位者は上位者の指示に従い、誠実に職務に専念することが労働契約上の義務である。その意味では、命じたとおりにコピーを取る行為は、労働契約上の義務を果たしただけとも言える。しかしながら、人間には「“理屈”ではなく“感情”で動く」という特性がある。自分が行った仕事に対して感謝されれば嬉しいし、大して感謝もされなければ面白くはないのである。

 また、中には「上司は部下よりも偉いのだから、感謝など必要ない」という考えを持つリーダーがいるかもしれない。しかしながら、部長が「部長である」という理由で部下よりも偉いわけではない。役職の違いは組織内での単なる“役割の違い”にしか過ぎないからである。

 それにもかかわらず、「上司は部下よりも偉い」などの職業観を持ち「感謝など必要ない」などと考えていては、部下の“前向き”な行動を引き出すことなど、期待できるものではない。

 

◆目を見て笑顔で「感謝」を伝える

 終了報告の受け方には部下のモチベーションを上げるやり方もあれば、モチベーションを下げるやり方も存在する。部下のモチベーションを上げるためには、終了報告の際に作業を行ってもらったことに対する「感謝の気持ち」を表すことがポイントである。

 ただし、「感謝の気持ち」を示すときには、単に「ありがとう」と口にするだけでは十分ではない。「感謝の気持ち」は必ず部下の目を見て、笑顔で「ありがとう」と伝えることが重要である。リーダーがこのような態度で部下の終了報告を受けたとき、部下の心の中に“前向き”な感情が醸成される傾向にある。

「目を見て笑顔で感謝の言葉を口にする」。ヒトとヒトとが関わりあう企業・組織では、必須のコミュニケーションスキルである。

 

 

プロフィール

psr ohsuka
マネジメントコンサルタント、中小企業診断士、特定社会保険労務士 大須賀 信敬
コンサルティングハウス プライオ(http://ch-plyo.net)代表
「ヒトにかかわる法律上・法律外の問題解決」をテーマに、さまざまな組織の「人的資源管理コンサルティング」に携わっています。「年金分野」に強く、年金制度運営団体等で数多くの年金研修を担当しています。

 

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