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【専門家の知恵】RPAが人事労務業務に及ぼすインパクト~「デジタルレイバー」が人事部で活躍するとき~

RPAが人事労務業務に及ぼすインパクト~「デジタルレイバー」が人事部で活躍するとき~

<オフィス・ライフワークコンサルティング 飯塚 篤司/PSR会員>

 

 RPA(Robotic Process Automation)が、断然注目を浴びてきている。これまでホワイトカラー社員が行っていた事務業務等を「デジタルレイバー」とも呼ばれるロボットにより、自動化するものである。大手企業を中心に次々と導入が進められているが、人事労務分野での活用方法について少し考えてみたい。

 

◆ホワイトカラーのロボット=「デジタルレイバー」を生み出すRPAとは。

 2016年春、大手生命保険会社「日本生命」の銀行窓販事業部門のとある部署で、少し変わった「入社式」が開かれた。入社したのは、「日生ロボ美ちゃん」。担当は、請求書データのシステム入力作業だ。

 これまで、契約者から郵送されてくる保険請求書を見て、担当社員(人間)がその内容を業務システムに手入力していた。その仕事が「ロボ美ちゃん」の入社によって、劇的に変わった。

 担当社員(人間)が証券記号番号のバーコードをスキャンする。すると、ロボ美ちゃんは証券記号番号を認識し、それを基に社内の他のシステムから、必要なデータを収集して、業務システムに次々と入力していく。そのスピードは、人間が行うよりも5倍とも10倍とも言われている。

「ロボ美ちゃん」のような、「デジタルレイバー」に、定型的な事務業務を行わせることができるのが「RPA」(Robotic Process Automation)だ。

 RPAは、人間がパソコン上で行う事務業務の処理手順を覚えさせておけば、様々なソフトウェアや業務システム、ブラウザやクラウドを横断的に自動的に処理を行ってくれる。

 工場など、ブルーカラーの業務においては、これまでもロボットによる自動化が進んでいた。ホワイトカラーの業務においても、ITによる効率化は進んではいたものの、業務のIT化が進めば進むほど、使うソフト、システム、アプリケーションの類いは増えていき、それを横断的に行う手入力作業などが増え、結局、作業に忙殺されている職場も少なくない。

 そこで現在叫ばれているのが「働き方改革」である。RPAは、この「働き方改革」に大きなインパクトを与えるであろう。

 実際に、昨年から今年にかけて、大手企業でのRPAの導入、試験導入が増えてきている。

 先日は、ソフトバンクがRPA事業への参入がニュースとなった。

 RPAは、比較的低コストで導入できるのもメリットである。2018年は、様々な企業がRPAへ参入し、またそれを導入し、大きなムーブメントを起こすであろうと予想される。

 



◆人事労務分野におけるRPA

~2018年は人事労務革命の年に?!~

 では、人事労務分野においてRPAは、どのようなインパクトを与えるであろうか。

 考えられる例としては、採用業務である。応募者の情報をPC上でデータ化し、採用試験についての連絡を行い、採用試験の結果(採用、不採用)を応募者に連絡する。採用管理ソフト等もあるが、それらを活用したとしても、採用業務には、定型的かつ煩雑な手作業が多くある。

 もう一つ例を挙げるとすれば、従業員の勤怠管理と給与計算である。勤怠管理も給与計算も、それぞれ様々なシステムが存在し、多くの企業では、それらを活用しているであろう。しかし、社員のマスターデータを作成し、それを勤怠管理や給与計算のシステムに入れ、更に勤怠管理データと給与システムに連携させ、給与システムが計算した計算結果を、給与明細書としてプリントアウトし、従業員に配布する。(あるいは、クラウド上のWEB明細としてアップする。)また、社会保険料の改定通知や、昇給通知などもここに加わってくる。

 勤怠管理や給与計算作業にも、定型的かつ煩雑な手作業が数多くある。

 本来、人事労務業務においては、もっと重要な目的がある。採用業務においては、自社に適切な人材の選別と登用。

 勤怠管理、給与計算業務においては、過重労働の有無の確認や、勤怠状況による従業員のモチベーションの把握、従業員毎が適正に評価され、その能力や評価に応じた適正な給与の決定と見直し。などなど。

 しかし、特に人事労務担当者を数多く配置できない企業においては、定型的かつ煩雑な事務作業に忙殺され、本来の重要な目的を遂行できていないことも多い。

 RPAは、これらの問題を一気に解決する可能性を持っている。

 ここまで読まれて、RPAは比較的低コストであるといっても、大企業でしか導入する効果は少ないであろう、と考えられる中小企業の方も多いかもしれない。しかし、人事労務作業は、企業毎に部分的な特色があったとしても、基本的には規模の大小や業種にかかわらず、同じ業務も多い。

 定型的な自動業務を、パート社員1人分の人件費くらいで行ってくれるサービスがあるとすれば、どうであろう。

 2018年以降、そのようなサービスの提供も次々と出てくることが予想される。そうであれば、中小企業での導入も、かなり現実的なものになってくる。

 私は社会保険労務士として、中小企業の給与計算などの定型業務を請け負ってもいる。RPAの導入が進めば、私達、社会保険労務士の業務も無くなるのではないか?との声も聞かれる。しかし、逆にRPAの導入支援により、定型的で煩雑な作業を少なくし、人事労務業務担当者を本来の人事労務業務において活かしていくためのタレントマネジメントのサポートができる環境が整うのでは無いか、とも考えている。

 2018年は、人事労務業務の大きな革命の年になるかもしれない。

 

 

プロフィール

psr iiduka
社会保険労務士/キャリアコンサルタント 飯塚 篤司
オフィス・ライフワークコンサルティング (http://www.olwc.jp)
企業様の業種、成長ステージ、社風、経営理念に沿った柔軟なサポートを行います。また人事労務担当者様の外部メンターとしてキャリアップ支援による人事労務体制のレベルアップと企業の安定と発展をお手伝いします。

 

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