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【専門家の知恵】経営効率化に大切な視点とは何かを考える

経営効率化に大切な視点とは何かを考える

<SRC・総合労務センター 佐藤 正欣/PSR会員>

 

 少子高齢化により働き手が減少している。出生率向上や育児問題、介護問題と課題は山積している。これらの課題を解決すべく、政府は「働き方改革」を打ち出し、現在、働き方改革実現会議において侃々諤々の議論がされている。現在進行形であるため、これが最終的にどのような形で現場におりてくるのかは未知数だ。ただ一つだけ確実に言えることは、企業経営の合理化・効率化は避けて通れないということである。なぜなら、働き手の減少により限られた人材で最大の成果をあげていかなければ企業の存続が危ぶまれるからだ。そこで本稿では、経営効率化を図る上で大切な視点について考えてみたい。

 

◆効率を求めることは大切!でも…

 企業経営において、効率を図ることは重要な要素の一つである。先に挙げた働き方改革も、換言すれば企業経営を効率化させる一手法と言えよう。様々な工夫と努力で「無駄・ムリ・ムラ」を極力排除して、標準作業量の統一や作業組織を見直し生産性を高める視点は常に持っておくべきだ。しかし、これらばかりに捉われ過ぎると、何のために取り組んでいるのか、そもそもの目的を見失いやすい。詰まるところ、合理化・効率化を推し進めた先は、機械やシステムでしかなくなってしまう。単に合理化・効率化だけを考えるのならば、機械化・システム化をすればよい。ただこれでは、血の通わない単なる無機質な組織体に陥ってしまうと言えないだろうか。

 

◆何が正解なのか!?

 とはいえ、企業は最小の経営資源で最大の成果を得たいと考える。そこで巷に目を向けると、あらゆる経営に関する情報で溢れている。例えば、他者事例を交えながら、●●すると効率化できるとか、※※を導入すれば生産性が向上する等々だ。しかし、どれも企業経営にとって有用な手法として紹介されているにも関わらず、個々の内容を掘り下げてみると相矛盾することがある。結局のところ、自社に何が一番合うのかが解りづらい。何が正しい情報なのか、何をしたら奏功をもたらすのか、苦悩している経営者が多いのではないかと推察される。

 

◆自社の存在意義を軸に考える

 様々な経営施策の中で、自社に合っているかそうでないかは実際のところ導入して蓋を開けてみないと判断できない。 とはいえ、これらは社員も巻き込んでやらなければならないことが多く、試しに気楽にやってみるということは困難だ。だから、経営の合理化・効率化を考える上で、どう推し進めるかを悩まれている経営者の方々に対し、何が自社にとってそぐうかを判断する際の基軸として、自社の理念や存在意義に立ち返ることを筆者はお勧めしている。様々な経営施策と自社の適否を判断する上で、この基軸さえブレなければ、導入によって大きく失敗することは避けられると考えるからだ。経営理念や存在意義を判断基軸に持って考えることは当たり前のことだと反論があるかもしれない。でも、実際のところ導入可否を判断する際、目新しい手法に目が眩んでしまい、この点の考慮を失念してしまっていることが多いのではないかと感じる。

 

◆おわりに

 このように、企業が常に合理化・効率化を考えていかなければならない一方で、それが自社に適うものか否かの判断も同様に重要である。この判断可否のポイントを一部繰り返しになるが、以下に列挙して本稿の総括としたい。

 第一に、安易に他社事例に魅かれ、自社の経営理念や存在意義といった根幹を揺るがすような合理化・効率化は図るべきではないということだ。合理化・効率化は手段であって目的ではない。効率化を志向する一方、自社サービスの提供において合理化・効率化が譲れない(馴染まない)部分は当然あるだろう。この場合、その部分においてはあえて無駄を省かないという選択も必要である。
 
 第二に、合理化・効率化は、肌感覚を伴ったものでなければならないということだ。組織を動かし、その組織と接しているのは最終的に人だからである。ここを軽率に扱うと企業の内外から人が去ってしまう。単なる合理化・効率化は、組織を無味乾燥なものにしてしまうからだ。企業内では社員の働きがいの喪失へ、企業外ではサービス・品質の低下へと繋がる危険性がある。

 最後に、こうしたバランス感覚や取捨選択こそが、真の意味で経営資源を集中させるということであり、生産性向上に繋がる強い組織体を作るということではないだろうか。これこそがまさに経営管理の基本だと思うのである。

 

 

プロフィール

psr sato
特定社会保険労務士 佐藤 正欣
株式会社エンブレス 代表取締役  SRC・総合労務センター 副所長(http://www.e-src.com
輝く未来のオンリーワン企業を支援するため「大企業のマネをしない中小企業独自の労務管理」を理念とする。社会保険・労働保険の諸手続きをはじめ、給与計算等の事務手続き面におけるアウトソース業務と並行し、経営・労務相談、就業規則策定等のコンサル業務も多数手掛けている。また不定期に実施するセミナーや社員研修に定評がある。

 

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