事故が起こった時の労災保険の手続きの流れを教えて下さい
- 公開日:2009年5月27日.
受診後は、指定の用紙を病院又は労働基準監督署へ提出します。
業務中や通勤途中で怪我を負った場合は、まずは最寄りの病院へすぐに行き、受付で必ず労災であることを告げます。この際に、健康保険の保険証は提示しないで下さい。もし、労災扱いなのに健康保険の保険証を使ってしまうと、後日、社会保険事務所または健康保険組合に取り消しの申請をし、労災へ切り替えるというとても煩雑な手続きをすることになってしまいます。ただし、病院によっては、すぐに事情を説明すれば労災扱いに切り替えてもらえ、負担した3割分も戻してもらえますので諦めず問い合わせてみて下さい。また、基本的に病院は月末でその月の診療報酬の帳簿を締めますので、その前であれば多くの病院は、労災扱いに切り替えてくれます。 病院で受診が終わった後は、今後の労災の手続きに関して病院からしっかりと説明を聞いて下さい。ただし、何も説明をしてくれない病院もありますので、その場合は必ず会社の人事部などに受診した病院名などをしっかり報告して下さい。報告を受けた人事部は、その病院が労災の指定病院かどうかを調べます。指定病院であるかどうかは直接病院に聞いてみるのもよいですし、東京都であれば最寄りの労働基準監督署で都内全ての指定病院を掲載した本が入手できますので、確認してみて下さい。今後のためにも1冊は入手しておくと便利です。 申請については、労災の指定病院であれば「療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)」(業務災害用)を病院へ持って行き、労災の指定病院でなかった場合は、「療養補償給付たる療養の費用請求書(様式第7号)」(業務災害用)を直接、管轄労働基準監督署へ提出します。
会社で業務災害が起きたときのために、会社の最寄りの指定病院をいくつか調べて周知しておくことをお薦めします。そうすれば、社員はすぐに病院に行くことができますし、労災の書類もすぐに持っていくことができます。
労災の手続きに必要な書類は様々あります。業務災害と通勤災害では書類が全然違いますし、指定病院と指定外病院でも違います。また、休業すれば休業(補償)給付の書類を作成し、病院を変更した場合は変更届の提出をします。院内薬局か院外薬局かによって作成する書類の枚数も変わってきます。労災の手続きは突然発生しますので、どんな災害が発生しても、すぐに作成ができるよう様々な用紙を社内にストックしておく必要があります。また、労働基準監督署では、用紙以外にも「労災保険給付の概要」や「療養(補償)給付の請求手続」、「休業(補償)給付・傷病(補償)年金の請求手続」といった詳細なパンフレットが無料で配布されていますので入手しておくと良いでしょう。 〈社会保険労務士 PSR正会員 村松 鋭士〉