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労働者に出向を命じるための条件とは何ですか?

Q.労働者に出向を命じるための条件とは何ですか?
A.労働協約や就業規則など、出向命令の根拠となる規程があれば出向を命じることができます。
解説

1.どんな場合に出向を命ずる事ができるのか?
一般的に、出向の命令権は広く認められています。ただ、実際に労働者を出向させるためには、いくつかの条件が必要となります。
①出向命令の根拠となる規程があること
 労働協約や就業規則など、労働条件を定めた規程に出向について規定する必要があります。
②業務上の必要性がある
 根拠となる規程があればいかなるときでも出向させることができるわけではありません。業務上出向の必要性があるときに出向を命じることができます。
③人選が合理的である
 労働条件や生活環境などを考慮に入れて適切な人選をする必要があります。
◆判例では…
就業規則等の規定を前提に、その必要性があり、適切な人選が行われるなど合理的な方法で行われる限り、
出向者の個別具体的な同意がなくても出向を命じることができる(新日本製鉄事件 福岡地裁小倉支部 平8.3.26判決)
2.労働条件が不利益となる出向には要注意
労働協約や就業規則といった出向の根拠となる規程がある場合であっても出向命令が無効とされることがあるので、注意が必要です。それは、出向により社員の労働条件が低下するときです。 ただ、労働条件が低下するといかなる場合も出向が認められないということではありません。仮に労働時間が長くなったとしても給料が増えれば、労働条件が悪化したとは、一概には言えません。 つまり、出向後の労働条件について、賃金・労働時間・業務内容などについて総合的にみて、社会通念上相当であるか、労働者にとって酷ではないか、といった点を考慮して無効かどうか判断することになります。 判例でみてみると・・・ 労働条件が従来と比べて過酷低劣というものでなければ、ある程度の変動は避けがたいものとして容認しなければ、業務運営が行き詰ってしまう(東京エンジニアリング事件 東京地裁 昭52.8.10判決)

コンサルタントからのアドバイス

出向の根拠については、就業規則等で必ず定めましょう 出向することにより、労働条件が著しく低下する場合には、それを補う手当などの代替措置を講じるようにしましょう。 <社会保険労務士 PSR正会員 新島 哲>